米国株に投資するうえで,絶対に無視できないのがGAFAM(Google,Apple,Facebook,Amazon,Microsoft)です.
各企業の売上構成から,どこ企業に投資するのが良いか考えてみました.
各企業のデータは,U.S. SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSIONに掲載されている決算書,有価証券報告書を参照にしています.

まず,GAFAMの利益率を比較してみましょう
以下は,各社の『当期利益(Net Income)÷売上(Revenue)×100』,つまり純利益率です.
ただし,Google,Facebook,Amazonに関しては2020年度通算の決算から,AppleとMicrosoftに関しては2021年度第1四半期の決算から計算しています.

どの会社も,利益率は2019年度と比べて上昇しています.
意外にも利益率が最も低いのはAmazonなんですね.他はだいたい20%と,かなり高いです.営業利益じゃないですからね.当期純利益ですよ.
それでは,各社の売上構成を見ていきましょう.
2020年度
売上(Total Revenue):$182.6B 当期純利益(Net Income):$40.3B
Googleの売上構成

Google Search & other・・・Gmail, Google Maps, and Google Playでの広告収入
YouTube ads・・・YouTubeにでの広告収入
Google Network Members’ properties・・・AdMob, AdSense, and Google Ad Managerでの広告収入
Google other・・・Google Play経由の収入など
Google Cloud・・・Google Cloudの収入

※正式にはAlphabetがGoogleの親会社で,ここでのデータはAlphabetのものです.

Googleのポイントはこちらですね
・売上の70~80%が広告
上の円グラフのGoogle Search & other,YouTube ads,Google Network Members’ propertiesは要は広告ビジネスなので,Googleは売上のほとんどを広告に頼っていることになります.
無料サービスに広告をくっつけて利益を得てきた企業ですが,今後も広告ビジネスはうまくいくのでしょうか??
Apple
2021年度第1四半期
売上(Total Revenue):$111.4B 当期純利益(Net Income):$28.8B
Appleの売上構成

iPhone,Mac,iPad・・・その名の通り,各デバイスの売上
Wearables,Home and Accessories・・・AirPods,Apple TV,アップルウォッチなど
Services・・・ApplePay,AppleMusicなどのサービス,AppleCareによるサービス,SiriやiCloudストレージなどによる償却

・iPhoneだけで売上の約60%を占める(他のデバイスも含めると80%以上)
・電気自動車に期待?
iPhoneやMacが売れているのは,iOSの存在が理由ですね.他のOSだったらiPhoneなどはここまで売れないでしょう.OSを持っているということ自体が強いわけです.
AppleはOSに加え,デザインや使い心地,ブランド力で戦っている感じですよね.
今後は,電気自動車に期待です.電気自動車もデザインを重視してくるのでしょうか?
2020年度
売上(Total Revenue):$86.0B 当期純利益(Net Income):$29.1B
Facebookの売上構成

Advertising・・・Facebook,Instagram,Messengerなどでの広告

・売上はほぼ広告だけ
・成長の理由は「買収の繰り返し」
ほぼ全部が広告ビジネスからの収入ですね.
Googleも売上のほとんどが広告でしたが,Facebookはもっと極端です.
Instagramに続き,WhatsAppやゲーム開発会社Beat Gamesを買収したFacebook.これからも急成長企業を買収していく方針なのでしょうか?
Amazon
2020年度
売上(Total Revenue):$386.1B 当期純利益(Net Income):$21.3B
Amazonの売上構成


・GAFAMの中では利益率が低い
・ECサイト「Amazon」は売上の5割に過ぎない
一般消費者からしたらネットショッピングサイト「Amazon」のイメージしかないかもしれませんが,ネットショッピングからの売上はAmazonの5割にしか満たないんですね.
純利益率は5%程度と,GAFAMの中では低いです.とはいえ全然悪くはない数字ですけどね.
Amazonは実店舗(Amazon Go)やロケットなどにもチャレンジしているので,コストがかかっているんでしょうね.
Microsoft
2021年度第1四半期
売上(Total Revenue):$43.1B 当期純利益(Net Income):$15.5B
Microsoftの売上構成

・Server products and cloud services・・・Microsoft Azureによるクラウド事業売上
・Office products and cloud services・・・Microsoft Officeによる事業売上
・Windows・・・Windows OSによる事業売上
・Gaming・・・Xboxなど
・Linkedln・・・ビジネス特化型SNS「Linked in」
・Search advertising・・・検索エンジン「Bing」での広告
・Devices・・・Surface(PC)など
・Enterprise Services・・・企業向けサービス

・GAFAMの中では最も事業項目が多く,一番バランスがよい
・王道なIT企業な感じ
主力はクラウド事業,Microsoft Office,OSですが,他の事業であるゲーム,Linked inなども無視できない規模ですね.
ちゃんと事業改革を進めている感があります.Windows OSがあるので,安定性もあります.
クラウド,OS,SNS,デバイスなど,ほぼすべてのIT系事業を持っている,王道IT企業という感じです.
どこに投資すべき?

売上構成から分かることを簡単にまとめると以下の感じです
Google・・・広告8割
Apple・・・iPhone6割,電気自動車などに期待?
Facebook・・・広告9.8割,買収して規模拡大
Amazon・・・ECサイト5割,純利益が若干低いのは研究開発費か
Microsoft・・・多種な事業でバランスよい
正直,どこも素晴らしい成長力かつ収益率の高い事業を有していますから,どこに投資しても悪くないと思います.
ただ,しいて言うなら私の推しはMicrosoftです.理由は,色々な事業があるので大失敗にはならないかな~と思うからです(反対に,他の企業と比べて大成長もしにくいかもしれませんが).あとは,Microsoftブランドが好きだからですね.
また,私的にはFacebookは避けたいかな,と思います.理由は,買収のニュースを追うのが難しく,実態が分かりにくいからですね.
GoogleやAmazonに投資するのは良いと思いますが,株価が高いので個別株として買うのは個人投資家にとっては敷居が高いかもしれません.
そういった理由で私が個別株として所持している銘柄はMicrosoftとAppleだけですが,他のGAFAM企業にも投資したかったり,どの企業が良いかピンとこないひとは,米国企業全体に投資できるETFや投資信託を買うのが良いと思います.
例えば,QQQはGAFAMやテスラを多く含んだETFで,VOOはS&P500(米国企業500社に投資するインデックス)にほぼ連動するETF,VTIは約3,640の米国企業に投資するETFです.
ETFを買うことで,株価の高いGoogleやAmazonにも投資することができます.その理由についてはETFとは?株や投資信託との違いとETFのメリットを解説しますの『価格が高い個別株にも少額で投資できる』を参照してください.
S&P500や全米株式はGAFAMを高い割合で含んでいるので,良い感じにGAFAMに投資することができます.
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