これから米国株に投資しようと考えているひとで,かつなるべく安定したリターンを得たいというひとは,投資信託もしくはETFから始めるのがおすすめです.

ETFが何か分からない方は,ETFとは?株や投資信託との違いとETFのメリットを解説しますを参照してください
今回は,米国株式最強ETFといえるVTIについて紹介します.投資初心者からベテラン投資家まで,多くの層から絶大な支持を受けているETFですので,どんなETFを買ったらいいか分からないひとはVTI,もしくは記事中で紹介するVTやVOOに投資してみてはいかがでしょうか.
VTIとは
VTIはチェッカー(略名)で,正式名称は『バンガード・トータル・ストック・マーケットETF』です.
VTIはその名の通り,アメリカの世界最大規模の資産運用会社バンガードによって運用されています.
VTIは,『米国株式市場全体に投資する』ことをコンセプトとしたETFです.
VTI は米国株式市場全体に投資するETF
VTIの株価で米国株式市場全体の調子をざっくりと見ることができますから,よく米国経済の指標としてVTIが参考にされたりします.
投資アプローチ
VTIの投資指針は以下のようになっています.言葉が難しいかもしれませんので,とりあえず何となく見ておけばOKです.
・CRSP USトータル・マーケット・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指します。
・グロースおよびバリュースタイルに分散した大型株、中型株および小型株へのエクスポージャーを提供します。
・インデックス・サンプリング法を用いたパッシブ運用です。
・ファンドはフルインベストメントを維持します。
・低経費によってトラッキングエラーを最小限に抑えます。
バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社 日本個人投資家向けサイト Vanguard
CRSP USトータル・マーケット・インデックスとは,米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーするインデックスです.
すべてのETFに言えることですが,ETFはあくまでインデックスなどへの連動を「目指す」ものなので,必ずしも完全には一致しないことに注意しましょう.とはいえ,実際にはほとんど一致していると考えてよいと思います.
経費率は0.03%で,同じ全米株式の投資信託は安くても0.09~0.16%くらいですから,やはり投資信託よりETFの方が経費率が安いということになります.
VTIの株価


「VTI=米国の成長」なので,米国は上記の期間では順調に成長したことがわかりますね
ここまで強かったETFは,かなり珍しいです.米国株投資家なら,無視できないETFですね.
VTIの中身
VTIは米国市場全体に投資するETFですが,その具体的な中身について見てみましょう.
VTIの構成株式銘柄数は3,640銘柄です(2021/2現在).
2021年2月現在において,組入れ銘柄の上位10社は以下の通りです.
名称 | ファンドの割合 |
---|---|
AAPL:USアップル | 5.32 |
MSFT:USマイクロソフト | 4.62 |
AMZN:USアマゾン・ドット・コム | 3.60 |
FB:USフェイスブック | 1.63 |
TSLA:USテスラ | 1.58 |
GOOGL:USアルファベット | 1.45 |
GOOG:USアルファベット | 1.35 |
JNJ:USジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | 1.13 |
BRK/B:USバークシャー・ハサウェイ | 1.07 |
JPM:USJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 1.03 |
上表の割合の合計は22.78%なので,他の銘柄(約3,540社)で78%くらい構成されています.一つ一つの銘柄は小さい割合で構成されており,リスク分散がされていることが分かりますね.
とはいえ3,640銘柄だと,もし全ての銘柄を均等な割合で構成したら一銘柄0.027%くらいですから,Appleの5.32%やMicrosoftの4.62%はかなり大きな割合ということになります.
つまり,GAFAMやテスラの株価の値動きに左右されやすくなっているETFということになります.これは,米国企業500社に投資するS&P500に連動するETFと同じ性質です.
VTIとVOOおよびVTとの比較
VTIとよく比較されるETFとして,VOOとVTというものがあります.
VOOとの比較
S&P500に連動するETFとして,VOO(バンガード・S&P500 ETF)というものがあり,米国企業約500社に投資しているETFです.VTIは3,640社に投資しているのでVOOの方はかなり絞っている感じがしますが,どれほどの差があるのでしょうか?
VTIとVOOの,2010年から現在までの比較を見ていましょう.

ほぼ,ピッタリ重なっていますね.
これから分かることは,ここ10年くらいは,全米の株価はほとんど500社だけで決まっているということです.VTIは時価総額加重平均型なので,500社以下は小さすぎて影響していないということ意味しています.
VOOの経費率はVTIと同じ0.03%なので,ここ10年はVOOでもVTIでもリターンはほとんど同じだった,ということになります.
ただし,今後500社以外の企業が台頭してきて,VTIのバランスが変わってくる可能性はあります.経費率は同じなので,「GAFAMやテスラなどが他の企業よりも圧倒的に強い状況が続く」と考えている人はVOO,「米国企業が強いとは思うが,GAFAMやテスラが勝ち続けるとは限らない」と考えているひとはVTIに投資すると良いでしょう.
VTとの比較
米国を含む先進国および新興国約47ヵ国の大型・中型・小型株約8,000銘柄で構成される、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとの連動を目指すバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)というものもあります.

簡単にいうと,VT は『全世界の企業に投資するETF』です.
構成株式銘柄数は8,847社と,VTIよりも倍以上の企業に投資しています.
経費率は0.08%なので,VTIの経費率0.03%と比べて少し高くなっています.全米(3,640社)に投資するよりも全世界(8,847社)に投資する方が経費がかかるからだと思います.
VTIとVTの,2008年から現在までの比較を見ていましょう.

ここ13年くらいは,VT(赤)よりもVTI(青)の方が良かったようです.
それもそのはず,時価総額世界ランキング上位のGAFAM+テスラは米国企業ですからね.この10年はこれらの企業の成長率が半端なかったので,米国企業が他の国に比べて圧倒的に強かったというわけです.
経費率はVTの方が高いので,どの方法から考えてもVTIに投資してきたひとの方がリターンが高かったということになります.
「これらかも米国企業が強い」と考えているひとはVTI,「米国企業が勝ち続けるとは限らない」と考えているひとはVTに投資するのが良いと思います.
ちなみに,私はこれから5~10年くらいは新興国株や先進国株が少し持ち返すのではないかな,と考えているので,VTにもVTIにもいい塩梅で投資していく予定です.
ETFについてより理解を深めたい人は,以下の本をぜひ.
高配当株ETFに興味がある人は,以下をご覧ください.
コメント